妄想占い ・ 嫉妬心かも

妄想劇場その4「ルノルマンカード」編
嫉妬心かも


休みの日なのでのんびりしてた。
そこに電話が。
D子からだった。いつものそそっかしい話かと思ったら相談だっていうから、馴染みのカフェで会うことにした。

E子聞いてよ、ひどいのよ。D子はかなり怒っている。
D子は女性専用アパートに住んで三年、仕事をしながらひとり暮らしを楽しんでいる。最近二号室に新しい人が入ってきた。あまり会うこともない。その人が昨夜怒ってきた。
「朝早く出かける時くらい車のドアを静かに出来ないのですか?何度言えば分かるの」
「私は車持ってませんが」
「あるでしょ、あの車ですよラベンダー色の。あの車からあなたが降りたのを何回も見たのよ」
見ると確かにラベンダー色の車は駐車していた。
いくら私のではないといっても聞かない。何度も叱られた。どうしたらいいのか、占って、と言った。

困った人もいるもんだと呆れながらも、ルノルマンカード引くわねと言ってシャッフル始めた。D子はのんびりコーヒー飲みながら待つ体制で、何も変わってないなぁと苦笑してしまった。


出たカードを読む。
なんか嫉妬心でもあるのかな?
でもそれも間もなく明らかになる、はっきりすると出たわよ。このカードの本は開いているから秘密ではないの。明かされると言うことよ。

D子は二号室の彼女が嫉妬心てこと?
まさか私にじゃないよね、よく知らないもの。ま明らかになるならしばらく待つわ。E子の占い当たるしね。
そして少し会話を楽しみ二人は別れた。


一週間後D子から連絡があった。
E子聞いてよ。
今日仕事から帰ると駐車場からエンジン音がしてドアを閉める音。ラベンダー色の車ね。私はドキドキした、いやワクワクかな。
そして階段を上がってくる足音を聞いていた。二号室の前当たりに来た時、部屋のドアが開いた。
「あなた何度も注意しましたよね」
突然言われた彼女は五号室の人、何のことやら分からない。
「車のドアの閉め方うるさいのよ。何度言えば分かるの?」
私は玄関を開けて共有廊下に出た。その時、二号室の人は私を見た。「えっ?うそ」と言った。
「はい、何度も注意うけたの私です」
その人は二人を交互に見ながら間違いに気づいた。私は黙って部屋に戻った。そしてやった~!とガッツポーズ。私はこの件では大分腹が立ったが五号室の彼女を見たら許そうと言う気になった。身長や髪の長さは私と同じくらいで遠くなら見間違いしても仕方ない。

けれど彼女は格好良かったんだよね。お洒落でいかにも仕事バリバリのキャリアウーマンに見えたの。輝いてるってこう言う人のことかもなんて思っちゃった。女性だったら憧れるよね。
嫉妬心てこれか、と納得したんだけど。私って仕事バリバリじゃないんだよねぇ。
そう言ってD子はおかしそうに笑った。

全く謝罪など求めてはいない。それがD子の良さなんだけどね。
とりあえず解決ならいいか、E子も笑うしかなかった。