妄想占い・騒ぎの元は消えて

妄想劇場その3
「占いの部屋」編
騒ぎの元は消えてくれ


どうしたらいいのか・・・と考えながら歩いていたら、自転車の人が「すみませーん」と声をかけながらC子の脇を通りすぎて行った。あぁぼんやりしてたらいけないな、と顔を上げると先の方に見慣れない看板が見えた。そこには「占いの部屋」と書いてある。いつ出来たのかしら、全然気づかなかったわ。で 占いの部屋って何? 興味本位で覗くなんて失礼よね。でも占いって何するのかな。水晶玉でも覗くのかな、それとも手を見せてくださいなんて言われるのかしら? そんなこと思いながらのんびり歩いていたら、占いの部屋の入り口に来ていた。
ちょっと入ってみようかな。買い物にはまだ時間はあるし大丈夫。
そっとドアを開け「こんにちは」
「はい、お入りください」優しい声がした。「予約してないんですが」と言うと声の主は「予約は不要ですよ。いらした日が予約日ですから」と笑った。私の予約日は今日だったってことね。いつ予約したんだ?
C子も思わず笑ってしまった。
中に入ると品のよい服装のおばあさんが立っていて、濃い紫のクロスの掛かった丸テーブルの他には装飾品もなくシンプルな部屋だった。椅子を勧められて座ると、それはとても座り心地がよく高価なものだと分かった。

おばあさんは「今日は何かご相談でも?」と聞いた。C子は相談していいのかどうか分からなかったが、今困っていることを話した。

C子の住んでいる家の近くでやたらとうるさく騒ぐ人がいること、どうでもいいことを言って歩く人。大型トラックが頻繁に通ること。入り口付近で騒ぐ人。今までなかったことが起きていて騒音が凄いんです。そこは駅にも近いし大型スーパーも近いしとても住みやすい地域なんです。何でも人気物件地区らしいんです。深夜は静かだからまだいいんですが、朝早くから夜遅くまでうるさいのには閉口します。住民の皆さんは引っ越しもせずに頑張っています。こんなことがいつまでも続いたらみんなノイローゼになりそうです。外の人が「地上げや、追い出しや」とか歩きながら教えてくれるのですが、辛抱するしかないのかな?と悲しくなります。

C子は一気に話しました。おばあさんは「それはお辛かったでしょう」と言ってくれた。「ここは占いしかできませんが何かお役に立つかも知れません。どうなったらいいか?どうしたいのか?何か要望はありますか?」
「はい、騒がせている人たちが早くいなくなればいいと思います。撤退して欲しいです」
「そうですね。ではその件についてカード展開してみましょうね。」
そう言ってタロットカードを出すと、テーブルに広げてかき回した。ように見えた。手際よくカードをテーブルに並べた。これで何か分かるのかなぁとぼんやりと見ていた。
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おばあさんは言った。
「随分辛い想いをされましたね。この人たちは人間の持つ強い欲望に動かされました。戦えば勝てる、強欲に奪えると信じていたようですがこれからは今までとは違います。暴力行為では乗り越えることはムリでしょう。自分たちの行いの結果と言いますか、何か思いがけない衝撃的なことも体験するでしょう。それによって非常に経済的困難になりそうです。手の打ちようがないですね。最後は優しい女性か、あるいは力のある女性性の強い人に頼るか、その人が責任をとることになるかも知れません。自分たちは強い戦う男たちと自負してるでしょうけど、もはや戦う気力もなく仕方なく撤退する事になると思います。

必ずこうなると言うものではありませんが、今の段階ではこれが占いの 結果です。人の考えが変わったり、時間の経過によっても変化はします。変化が良い方向に向かうといいのですが。円満解決は理想ですが、今回の場合それはムリなようですね。」

C子は聞いていて何だか胸のつかえが取れたような気がした。
「すっきりしました。撤退するのを待ちます」
おばあさんに丁寧にお礼を言って占いの部屋を後にした。


今日の夕食メニューは変更しよう。特別メニューにする。久々に足取り軽くいつものスーパーに向かった。