妄想占い・花束

妄想劇場その2
「ひとり占い」編
花束

B子は毎朝1枚ずつカードを引くことを日課にしている。
今朝のカードはルノルマンカード
f:id:sakuramemo:20210417232628j:plain
わ、今日は花束だって。
ギフト、感謝
なんか嬉しいことあるのかしら?
いつものように出勤した。


今日はこの部署勤務最後の日だった。
隣町の支店勤務を言われ、泣く泣く承知した。この部署では一番仕事が出来ると言われ困った時は相談するようにと、新人さんたちは教わる。その私が異動する事になるなんてどうよ、ちょっと腹立ち紛れの朝だった。
職場に着くとそんな感じは微塵も見せずいつものように振る舞う。
仕事は順調に終わり、後輩たちは挨拶をするとさっさと帰ってしまった。
B子は私物を片付け忘れ物がないか確認し、課長に挨拶を済ませて部屋を出た。
あ~ぁ 長年の貢献者と言われた私の最後がこれか。なんかガッカリだわ。ま いいか、次で頑張るから。そう自分を慰めながら玄関ホールに着いた。
えっえっえっ、みんなどうしたの?

そこには課長始め後輩たちが勢揃いしてた。課長の隣にはA子が花束を持って。私に差し出し「今まであリがとうございました。お疲れさまでした」
あぁなんてこと、私はこのA子に嫌がらせしてきたのに、A子はそれを許してくれるのね。自然と涙が溢れる。
課長も思いやりのある人柄でみんなに慕われている。ここを去るのが惜しくなる。みんなに見送られ玄関ホールを出た。

家に着くと、わあっと涙が溢れ出し思い切り泣いた。気が済むまで泣いた。
こんなに泣いたことあっただろうか。
その時B子は知った。

朝のカード、花束の意味を。
部署の人たちみんなが私にとって宝物だったんだわ、それが最後に分かるなんて。でも知らなかったら嫌な先輩のままね。どんなに感謝しても感謝しても、足りないほどのお付き合いだったんだ。

頂いた大きな花束を見ながらまた泣いた。